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トピックス

ここでは、最新のトピックスから過去のトピックスまで、まとめて掲載しております。

【2014.10.14】
平成26年介護事業経営実態調査の結果について

平成26年介護事業経営実態調査の結果が公表されましたが、当該調査の結果における各サービスの状況は以下のとおりとなっています。

なお、収支差率及び収入に対する給与費の割合等は、いずれもサービス毎のまとめであり、個々のサービス事業所の実際の数値は様々な状況があることに留意が必要です。また、かっこ内は前回(平成23年)調査との比較です。

1.各サービスについて 

(1)施設系サービス

収支差率については、
介護老人福祉施設では8.7%(−0.6ポイント)、介護療養型医療施設では8.2%(−1.5ポイント)、地域密着型介護老人福祉施設では8.0%(+6.1ポイント)、介護老人保健施設では5.6%(−4.3ポイント)

前回調査との比較では、地域密着型介護老人福祉施設で大きく上昇、介護療養型医療施設、介護老人保健施設で下降しています。

 

収入に対する給与費の割合については、

介護老人福祉施設では57.6%(+0.1ポイント)、地域密着型介護老人福祉施設では57.2%(−1.4ポイント)、介護老人保健施設では56.5%(+4.3ポイント)、介護療養型医療施設では56.3%(+1.1ポイント)

 

前回調査との比較では、介護老人保健施設で上昇しており、他サービスでは変動は小さくなっています。

 

(2)訪問系サービス

収支差率については、

訪問介護では7.4%(+2.3ポイント)、訪問入浴介護では5.4%(−1.3ポイント)、訪問リハビリテーションでは5.3%(+2.2ポイント)、訪問看護ステーションでは5.0%(+2.7ポイント)、夜間対応型訪問介護では3.8%(−0.8ポイント)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護では0.9%

 

前回調査との比較では、訪問介護、訪問リハビリテーション、訪問看護ステーションで上昇、訪問入浴介護で下降しています。

 

収入に対する給与費の割合については、

定期巡回・随時対応型訪問介護看護では85.6%、夜間対応型訪問介護では83.0%(+7.2ポイント)、訪問看護ステーションでは76.6%(−3.4ポイント)、訪問介護では73.7%(−3.2ポイント)、訪問リハビリテーションでは68.1%(+7.3ポイント)、訪問入浴介護では64.5%(−1.1ポイント)

 

前回調査との比較では、夜間対応型訪問介護、訪問リハビリテーションで上昇しており、他サービスでは変動は小さくなっています。

 

(3)通所系サービス

収支差率については、

通所介護では10.6%(−1.0ポイント)、通所リハビリテーションでは7.6%(+3.6ポイント)、認知症対応型通所介護では7.3%(+1.4ポイント)

 

前回調査との比較では、通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護で上昇しています。

 

収入に対する給与費の割合については、

認知症対応型通所介護では62.2%(−0.3ポイント)、通所リハビリテーションでは59.3%(−1.9ポイント)、通所介護では55.8%(+0.2ポイント)

 

 前回調査との比較では、各サービスとも変動は小さくなっています。

 

(4)その他のサービス

収支差率については、

特定施設入居者生活介護では12.2%(+8.7ポイント)、認知症対応型共同生活介護では11.2%(+2.8ポイント)、短期入所生活介護では7.3%(+1.7ポイント)、地域密着型特定施設入居者生活介護では6.8%(+3.0ポイント)、小規模多機能型居宅介護6.1%(+0.2ポイント)、福祉用具貸与では3.3%(−2.7ポイント)、複合型サービスではマイナス0.5%、居宅介護支援ではマイナス1.0%(+1.6ポイント)

 

前回調査との比較では、特定施設入居者生活介護で大きく上昇、認知症対応型共同生活介護、短期入所生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、居宅介護支援で上昇、福祉用具貸与で下降しています。

 

収入に対する給与費の割合については、

居宅介護支援では81.9%(+1.5ポイント)、複合型サービスでは71.8%、小規模多機能型居宅介護では63.4%(−0.3ポイント)、短期入所生活介護では59.2%(+1.7ポイント)、認知症対応型共同生活介護では55.9%(−0.5ポイント)、地域密着型特定施設入居者生活介護では52.6%(−2.2ポイント) 特定施設入居者生活介護では39.9%(−9.1ポイント)、福祉用具貸与では32.0%(−3.0ポイント)

 

前回調査との比較では、特定施設入居者生活介護で下降しており、他サービスでは変動は小さくなっています。

 

2.総括

  • 各介護サービスの収支差率は一部サービスを除き5%以上となっており、10%以上となっているものもあります。また、収入に対する給与費の割合は、前回調査と比べ概ね同程度の水準を維持しています。
  • 施設系サービスの収支差率はいずれも5%以上となっています。また同サービスの収入に対する給与費の割合は、介護老人保健施設で上昇しています。
  • 訪問系サービスのうち、訪問介護、訪問入浴介護、訪問リハビリテーション、訪問看護ステーションの収支差率は5%以上となっています。また同サービスの収入に対する給与費の割合は、夜間対応型訪問介護、訪問リハビリテーションで上昇しています。
  • 通所系サービスの収支差率はいずれも5%以上となっており、通所介護の収支差率は10%以上となっています。
  • その他のサービスのうち、複合型サービス、居宅介護支援の収支差率はマイナス、短期入所生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護の収支差率は5%以上となっており、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護の収支差率は10%以上となっています。また収入に対する給与費の割合は、特定施設入居者生活介護で下降しています。

(参考) 過去の調査結果との比較

 

平成26年実態調査

平成23年実態調査

収支差率

収支差率

介護老人福祉施設

 57.6%

8.7%

 57.5%

 9.3%

地域密着型介護老人福祉施設

 57.2%

8.0%

 58.6%

 1.9%

介護老人保健施設

 56.5%

5.6%

 52.2%

 9.9%

介護療養型医療施設(病院)

 56.3%

8.2%

 55.2%

 9.7%

認知症対応型共同生活介護(介護予防を含む)

 55.9%

11.2%

 56.4%

 8.4%

訪問介護(介護予防を含む)

 73.7%

7.4%

 76.9%

 5.1%

夜間対応型訪問介護

 83.0%

 3.8%

 75.8%

 4.6%

 訪問入浴介護(介護予防を含む)

 64.5%

 5.4%

 65.6%

 6.7%

 訪問看護ステーション(介護予防を含む)

 76.6%

 5.0%

 80.0%

2.3% 

 訪問リハビリテーション(介護予防を含む)

 68.1%

 5.3%

 60.8%

 3.1%

 通所介護(介護予防を含む)

 55.8%

 10.6%

 55.6%

11.6% 

 認知症対応型通所介護(介護予防を含む)

 62.2%

 7.3%

 62.5%

 5.9%

 通所リハビリテーション(介護予防を含む)

 59.3%

 7.6%

 61.2%

 4.0%

 短期入所生活介護(介護予防を含む)

 59.2%

 7.3%

 57.5%

 5.6%

 居宅介護支援

 81.9%

▲1.0%

 80.4%

▲2.6%

 福祉用具貸与(介護予防を含む)

 32.0%

 3.3%

 35.0%

 6.0%

 小規模多機能型居宅介護(介護予防を含む)

 63.4%

 6.1%

 63.7%

 5.9%

 特定施設入居者生活介護(介護予防を含む)

 39.9%

 12.2%

 49.0%

 3.5%

 地域密着型特定施設入居者生活介護

 52.6%

 6.8%

 54.8%

 3.8%

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

 85.6%

 0.9%

 複合型サービス

 71.8%

▲0.5%

(注1) ※は「収入に対する給与費の割合」 

(参考文献) 『平成26年介護事業経営実態調査結果のまとめ(案)』、『平成26年介護事業経営実態調査結果の概要(案)』(厚生労働省介護給付費分科会資料(平成26年10月3日)より)

【2014.2.9】 平成26年度の診療報酬・介護報酬の改定

平成26年度の診療報酬と介護報酬の改定が決定されました。その具体的内容は以下の通りとなります。

 

1.診療報酬改定

①診療報酬本体

改定率 +0.73%(+0.63%)

各科改定率 医科 +0.82%(+0.71%)

                  歯科 +0.99%(+0.87%)

                  調剤 +0.22%(+0.18%)

②薬価改定等

改定率 ▲0.63%(+0.73%)

薬価改定 ▲0.58%(+0.64%)

材料価格改定 ▲0.05%(+0.09%)

※( )内は、消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増への対応分

 

なお、診療報酬の改定とは話が少しずれますが、平成26年度の予算において、「医療・介護サービスの提供体制改革のための新たな財政支援制度」として、904億円の予算が計上されています。その具体的内容は以下の通りです。

  • 団塊の世代が後期高齢者となる2025年を展望すれば、病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進、医師・看護師等の医療従事者の確保・勤務環境の改善、地域包括ケアシステムの構築、といった「医療・介護サービスの提供体制の改革」が急務の課題。
  • このため、医療法等の改正による制度面での対応に併せ、消費税増収分を財源として活用し、医療・介護サービスの提供体制改革を推進するための新たな財政支援制度を創設する。
  • 各都道府県に消費税増収分を財源として活用した基金を作り、各都道府県が作成した整備計画に基づき事業実施。
  • この制度はまず医療を対象として平成26年度より実施し、介護については平成27年度から実施。病床の機能分化・連携については、平成26年度は回復期病床への転換等現状でも必要なもののみ対象とし、平成27年度からの地域医療ビジョンの策定後に更なる拡充を検討。

ここで、新たな財政支援制度の対象事業として、以下の3つの事業が示されています。

(1)病床の機能分化・連携のために必要な事業

  • 地域医療ビジョンの達成に向けた医療機関の施設・設備の整備を推進するための事業

(2)在宅医療・介護サービスの充実のために必要な事業

  • 在宅医療(歯科・薬局を含む)を推進するための事業
  • 介護サービスの施設・設備の整備を推進するための事業

(3)医療従事者等の確保・養成のための事業

  • 医師確保のための事業
  • 看護職員等の確保のための事業
  • 介護従事者の確保のための事業
  • 医療・介護従事者の勤務環境改善のための事業

 

2.介護報酬改定

改定率 +0.63%

※平成26年度の介護報酬の改定は、平成26年4月1日に予定されている消費税率8%引上げに伴い、介護サービス施設・事業所に実質的な負担が生じないよう、消費税対応分を補填する目的から行われるものです。

 

なお、介護報酬における対応は以下の通りです。

  • 上乗せの方法としては、基本単位数への上乗せを基本としつつ、消費税負担が相当程度見込まれる加算があれば、それらにも上乗せを行う。
  • 具体的な算出に当たっては、「平成25年度介護事業経営概況調査」の結果等により施設・事業所の課税割合を適切に把握した上で、消費税引上げに伴う影響分について必要な手当てを行う。
  • 基本単位数への上乗せ率は、各サービスの課税割合に税率引上げ分を乗じて算出する。
  • 加算の取扱いについては、基本単位数に対する割合で設定されている加算、福祉用具貸与に係る加算の上乗せ対応は行わない。
  • その他の加算のうち、課税費用の割合が大きいものについては、基本単位数への上乗せ率と同様に課税費用に係る上乗せ対応を行う。また、課税費用の割合が小さいものなど、個別に上乗せ分を算出して対応することが困難なものについては、基本単位数への上乗せに際し、これらの加算に係る消費税負担分も含めて上乗せ対応を行う。
     

(参考資料) 「第73回医療保険部会」及び「第98回介護給付費分科会」資料より

平成25年10月4日に行われた社会保障審議会医療部会において、看護職員確保対策について検討が行われました。

『社会保障制度改革国民会議報告書(平成25年8月6日)』では、「看護職員については、養成拡大や潜在看護職員の活用を図るために、看護大学の定員拡大及び大卒社会人経験者等を対象とした新たな養成制度の創設、看護師資格保持者の登録義務化等を推進していく必要がある」とされていたところであり、また、『社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子について(平成25年8月21日)』では、「看護職員等の確保について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」とされていたところです。

看護職員の必要数は今後の15年間で50万人増加(平成23年:約150万人、平成37年:約200万人)すると試算されているところですが、当該部会において、新たな看護職員の確保に向けた対応策として、以下の各点が示されました。

 

(1)看護職員の復職支援の強化

  • 看護師等免許保持者について一定の情報の届出制度を創設し、離職者の把握を徹底。
  • ナースセンターが、離職後も一定の「つながり」を確保し、ライフサイクルを通じて、適切なタイミングで復職研修等必要な支援を実施。

(2)勤務環境の改善を通じた定着・離職防止

  • 医師等を含めた医療スタッフ全体の勤務環境を改善するため、医療機関による自主的な勤務環境改善活動を促進するとともに、医療勤務環境改善支援センターが医療機関の取組をバックアップするシステムを構築する。こうしたシステムを普及させることで、看護職員について定着・離職防止を推進し、ワークライフバランスなどにも配慮した取組を行う。

(3)大卒社会人経験者の看護職への取り込み促進

  • 18歳人口が減少する中、大卒社会人を対象とした新規養成の拡充を行う。

 

なお、ナースセンターの機能強化に向けた対応の方向について、以下の各点が示されました。

 

(現状)

  • 看護職員は、医師等他の資格職と比較しても潜在率が高い一方、潜在看護師を把握する仕組みが存在しない。
  • 一方、看護師等人材確保促進法に基づき、各都道府県ごとに無料職業紹介事業等を実施する「ナースセンター」制度が存在するが、その利用が進まず、必ずしも十分に機能していない実情にある。

(対応の方向性)

  • 抜本的な看護職員確保対策を進めていくためには、ナースセンター全体の機能強化を図っていくべきではないか
  • その際、ハローワークとの連携促進など、これまでの取組を更に拡充するとともに、こうした取組では対応できない対象者も含めて、総合的で、きめ細やかな復職支援を実施していく観点から、次の対応を講じるべきではないか。
  1. 看護師等資格保持者のうち一定の者に対し、ナースセンターへの住所等の連絡先など必要な情報の届出を義務化することとし、ナースセンターが看護師等資格保持者の情報を把握できるよう制度的な対応を講じることとしてはどうか。また、併せて、行政機関が保有する情報の活用等についても検討すべきではないか。
  2. 看護職員の離職後、離職理由が解消した後に、スムーズな復職が可能となるよう、離職中における定期的な情報の提供、離職者のニーズに合った適切な復職研修の実施など、ナースセンターによる提供サービスの改善・充実を図り、ナースセンターがよりきめ細やかな支援を実施することとしてはどうか。
  3. そのため、看護師等資格保持者(求職者)や医療機関(求人側)がどのような支援を求めているのか等のニーズについて調査研究をするべきではないか。

 

(参考文献) 第33回社会保障審議会医療部会(平成25年10月4日)資料より

平成25年9月13日に行われた社会保障審議会医療部会において、厚生労働省より病床機能報告制度に係る具体案が示されました。

病床機能報告制度は、一般病床について、機能分化を進め、急性期医療への人的資源の集中化を図るなど、病床の機能分化・強化を図り、もって医療機関が自ら担う機能を選択し、その機能を国民・患者に明らかにしていく必要があるとの観点から行われるものです。

厚生労働省は、各医療機関(有床診療所を含む)は病棟単位で、以下1.~4.の医療機能のうち該当する医療機能について、「現状」と「今後の方向性」を、都道府県に報告する案を提示しました(医療資源の効果的かつ効率的な活用を図る観点から医療機関内でも機能分化を推進するため、報告は病棟単位を基本とするとされています)。なお、一般病床のみならず療養病床についても、下記1.~4.の医療機能のうち該当する医療機能及び提供する医療の具体的内容に関する項目について報告を求めるとされました。

 

1.高度急性期機能

・急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能

2.急性期機能

・急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能

3.回復期機能

・急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能

・特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)

4.慢性期機能

・長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能

・長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能

 

病棟が担う機能を上記1.~4.の中からいずれか1つを選択して報告することとしてますが、実際の病棟には、様々な病期の患者が入院していることから、提供している医療の内容が明らかとなるように具体的な報告事項を今後検討していくとしながらも、医療機関にとって極力追加的な負担が生じないよう留意しつつ、都道府県での地域医療ビジョンを策定する上で必要な情報と、提供する医療の具体的内容を患者・住民・他の医療機関に明らかにする情報を報告事項として求めるとしています。

医療機能を選択する際の判断基準は、病棟単位の医療の情報が不足している現段階では具体的な数値などを示すことは困難であるため、報告制度導入当初は、医療機関が、上記1.~4.の各医療機能の定性的な基準を参考に医療機能を選択し、都道府県に報告することとするとされ、また、、都道府県には患者や住民に対し、医療機関から報告された情報をわかりやすい形で公表することを求めるとされています。

 

(参考資料) 第32回社会保障審議会医療部会資料(平成25年9月13日)

【2013.8.13】 社会保障制度改革国民会議最終報告書

平成25年8月6日に、社会保障制度改革国民会議の最終報告書が取りまとめられ、安倍晋三内閣総理大臣に最終報告書が渡されました。最終報告書では、社会保障4分野(少子化対策、医療分野、介護分野、年金分野)についての改革案が取りまとめられましたが、ここでは、特に医療・介護分野についての各論点につき、どのような提言が示されたのか、最終報告書の関連部分をを抜粋してまとめました。

 

1.年金等の世代間損得論について

  • 年金制度や高齢者医療制度、介護保険制度は、子供が老親を扶養するという私的扶養を社会化したものであることに十分留意が必要である。
  • 高齢世代の生活保障を社会的な仕組みとして行うことによって、その子や孫の負うべき負担を軽減し、現役世代のメリットにもなっていることを考慮する必要がある。
  • 公的年金制度が遺族年金や障害年金など若い世代にも起こり得る所得喪失のリスクに対応していること、事後的な社会経済変動にも対応できる仕組みであること、寿命の不確実性をカバーする終身保障であることなど、様々なリスクヘッジ機能を有していることも忘れてはならない。

2.社会保障財源の負担のあり方について

  • これまでの「年齢別」から「負担能力別」に負担のあり方を切り替え、社会保障・税番号制度も活用し、資産を含め負担能力に応じて負担する仕組みとしていくべきである。
  • 後期高齢者支援金の負担について、2015年度からは被用者保険者間の負担の按分方法を全面的に総報酬割とし、被用者保険者間、すなわち協会けんぽと健保組合、さらには共済組合の保険料負担の平準化を目指すべきである。
  • 暫定的に1割負担となっている70~74歳の医療費の自己負担については、現役世代とのバランスを考慮し、高齢者にも応分の負担を求める観点から、法律上は2割となっている。この特例措置については、世代間の公平をはかる観点から止めるべきであり、その際は、低所得者の負担に配慮しつつ、既に特例措置の対象となっている高齢者の自己負担割合は変わることがないよう、新たに70歳になった者から段階的に進めることが適当である。
  • 高額療養費の所得区分について、よりきめ細やかな対応が可能となるよう細分化し、負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことが必要である。
  • 介護保険制度では、利用者負担割合が所得水準に関係なく一律であるが、制度の持続可能性や公平性の視点から、一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきである。
  • 施設入所の場合には、世帯の課税状況や課税対象の所得(フロー)を勘案して、利用者負担となる居住費や食費について補足給付により助成を受けることとなっている。その結果、保有する居住用資産や預貯金が保全されることとなる可能性があり、世代内の公平の確保の観点から、補足給付に当たっては資産(ストック)も勘案すべきである。

3、医療・介護のあり方について

(医療の現状)

  • 医療について言えば、人口当たりの病床数は諸外国と比べて多いものの、急性期・回復期・慢性期といった病床の機能分担は不明確であり、さらに、医療現場の人員配置は手薄であり、病床当たりの医師・看護職員数が国際標準よりも少なく過剰労働が常態化していること、この現実が、医療事故のリスクを高め、一人ひとりの患者への十分な対応を阻んでいることが指摘されていた。
  • 日本の医療費の対GDP比は、現在、OECD諸国の中では中位にあり、世界一の高齢化水準を鑑みれば、決して高い水準にあるとはいえない。日本の医療は世界に高く評価されるコストパフォーマンスを達成してきたといえる。

(病床機能分化とネットワークの構築)

  • 急性期から亜急性期、回復期等まで、患者が状態に見合った病床でその状態にふさわしい医療を受けることができるよう、急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入し、入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現するとともに、受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実させていく必要がある。この時、機能分化した病床機能にふさわしい設備人員体制を確保することが大切であり、病院のみならず地域の診療所をもネットワークに組み込み、医療資源として有効に活用していくことが必要となる。

(地域ごとの特性に応じた医療・介護の提供の必要性)

  • 地域により人口動態ひいては医療・介護需要のピークの時期や程度が大きく異なり、医療・介護資源の現状の地域差も大きい実態が浮かび上がり、医療・介護の在り方を地域ごとに考えていく「ご当地医療」の必要性が改めて確認された。
  • これまで検討が進められてきた医療機能に係る情報の都道府県への報告制度(「病床機能報告制度」)を早急に導入する必要がある。
  • 病床機能報告制度により把握される地域ごとの医療機能の現状や高齢化の進展を含む地域の将来的な医療ニーズの客観的なデータに基づく見通しを踏まえたうえで、その地域にふさわしいバランスのとれた医療機能ごとの医療の必要量を示す地域医療ビジョンを都道府県が策定することが求められる。さらには、地域医療ビジョンの実現に向けて医療機能の分化と連携が適切に推進されることが、中期的な医療計画と病床の適切な区分をはじめとする実効的な手法によって裏付けられなければならない。
  • 効率的な医療提供体制への改革を実効あらしめる観点からは、国民健康保険に係る財政運営の責任を担う主体(保険者)を都道府県とし、更に地域における医療提供体制に係る責任の主体と国民健康保険の給付責任の主体を都道府県が一体的に担うことを射程に入れて実務的検討を進め、都道府県が地域医療の提供水準と標準的な保険料等の住民負担のあり方を総合的に検討することを可能とする体制を実現すべきである。

(社会福祉法人制度等の見直し)

  • 医療法人制度・社会福祉法人制度について、非営利性や公共性の堅持を前提としつつ、機能の分化・連携の推進に資するよう、例えばホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことができる道を開くための制度改正を検討する必要がある。
  • 特に、社会福祉法人については、経営の合理化、近代化が必要であり、大規模化や複数法人の連携を推進していく必要がある。また、非課税扱いとされているにふさわしい、国家や地域への貢献が求められており、低所得者の住まいや生活支援などに積極的に取り組んでいくことが求められる。

(地域包括ケアシステムのあり方について)

  • 医療はかつての「病院完結型」から、患者の住み慣れた地域や自宅での生活のための医療、地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療、実のところ医療と介護、さらには住まいや自立した生活の支援までもが切れ目なくつながる医療に変わらざるを得ない。
  • 地域包括ケアシステムは、介護保険制度の枠内では完結しない。例えば、介護ニーズと医療ニーズを併せ持つ高齢者を地域で確実に支えていくためには、訪問診療、訪問口腔ケア、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導などの在宅医療が不可欠である。自宅だけでなく、高齢者住宅に居ても、グループホームや介護施設その他どこに暮らしていても必要な医療が確実に提供されるようにしなければならず、かかりつけ医の役割が改めて重要となる。
  • 今のところ、医療・介護サービスの提供者が現場レベルで「顔の見える」関係を構築し、サービスの高度化につなげている地域は極めて少ない。

(介護予防給付について)

  • 地域支援事業については、地域包括ケアの一翼を担うにふさわしい質を備えた効率的な事業(地域包括推進事業(仮称))として再構築するとともに、要支援者に対する介護予防給付について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用しながら柔軟かつ効率的にサービスを提供できるよう、受け皿を確保しながら新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくべきである。

(総合診療医について)

  • 総合診療医は地域医療の核となり得る存在であり、その専門性を評価する取組(「総合診療専門医」)を支援するとともに、その養成と国民への周知を図ることが重要である。
  • フリーアクセスの基本は守りつつ、限りある医療資源を効率的に活用するという医療提供体制改革に即した観点からは、医療機関間の適切な役割分担を図るため、「緩やかなゲートキーパー機能」の導入は必要となる。こうした改革は病院側、開業医側双方からも求められていることであり、大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来患者は「かかりつけ医」に相談することを基本とするシステムの普及、定着は必須であろう。

 

(参考資料) 「社会保障制度改革国民会議報告書」(平成25年8月6日)より

平成25年7月19日に厚生労働省において介護給付費分科会が行われ、消費税が2014年4月に8%へ引き上げられた場合の介護報酬にかかる対応策について検討が行われました。厚生労働省より、介護報酬にかかる対応策として、以下の2つの案が示されました。

 

〇対応案Ⅰ(介護報酬上乗せ対応)

(趣旨)

消費税率の引上げにより、介護サービス施設・事業所の仕入れ等にかかる消費税負担が増大することから、税率引上げに伴う影響分を介護報酬で補填するもの。

(仕組み)

  • 各サービスごとに所要額を算出し、上乗せする項目・配分を決定する。
  • 算出に必要なデータは、現在実施している介護事業経営概況調査から取得する。

 

〇対応案Ⅱ(介護報酬上乗せ対応+高額投資への別建て対応)

(趣旨)

高額な設備投資を行った際の施設・事業所の負担感に配慮する観点から、上記「対応案Ⅰ」に加えて、介護報酬とは別建ての高額投資対応の仕組みを構築するもの。

(仕組み)

例えば、必要な財源をプールして基金を造成し、施設・事業所からの申請に基づいて、審査・支給する仕組みが考えられる。

これらの案に対し、厚生労働省から、具体的な対応案として、以下が示されました。

 

①介護報酬とは別建ての高額投資対応について

介護報酬とは別建ての高額投資対応については、介護サービス施設・事業所の設備投資に関する調査結果や、医療保険にかかる対応の議論の動向も踏まえ、消費税率8%への引上げ時には実施しないこととしてはどうか。

②介護報酬上乗せの具体的な対応方法について

  • 消費税率の引上げにより、介護サービス施設・事業所の仕入れ等にかかる消費税負担が増大することから、引上げに伴う影響分を補填するため、介護報酬への上乗せ対応を行うべきではないか。
  • その場合、消費税率8%引上げ時の介護報酬による対応について、介護報酬の考え方と診療報酬における過去の対応、医療保険にかかる対応の議論の動向を踏まえながら、消費税対応分の手当方法の考え方を検討する必要があるが、基本単位数及び消費税負担が相当程度見込まれる加算単位数への上乗せとしてはどうか。

※なお、医療保険にかかる対応の議論では、税率10%時に医療サービスを課税化すべきとの意見があることから、介護においても、今後、検討課題となり得るとしています。

 

また、その他の論点として、以下の2点が示されました。

①基準費用額、特定入所者介護サービス費(居住費・食費関係)

  • 居住費について、介護保険三施設(短期入所を含む)の建設にかかる消費税負担が増大することから、消費税率引上げに伴う影響についてどう考えるか。
  • 食費について、介護保険三施設(短期入所を含む)の仕入れ等にかかる消費税負担が増大することから、消費税率引上げに伴う影響についてどう考えるか。

②区分支給限度基準額

  • 介護報酬上乗せ対応を行う場合、在宅サービスの利用量の上限である区分支給限度基準額についてどう考えるか。

 

(参考資料) 第8回社会保障審議会介護給付費分科会(平成25年7月19日)資料より

厚生労働省において、平成23年10月より、「専門医の在り方に関する検討会」が開催され、今後の専門医の在り方等について議論が行われてきましたが、平成25年4月22日に、当該検討会において、これまでの様々な議論を踏まえて報告書が取りまとめられました。その概要は以下の通りとなります。

 

1.視点

新たな専門医に関する仕組みは、専門医の質を高め、良質な医療が提供されることを目的として構築。

 

2.現状

《専門医の質》

各学会が独自に運用。学会の認定基準の統一性、専門医の質の担保に懸念。

《求められる専門医像》

専門医としての能力について医師と国民との間に捉え方のギャップ。

《地域医療との関係》

医師の地域偏在・診療科偏在は近年の医療を巡る重要な課題。

 

3.新たな仕組みの概要

《基本的な考え方》

  • 新たな専門医の仕組みを、国民の視点に立った上で、育成される側のキャリア形成支援の視点も重視して構築。
  • 例えば、専門医を「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」と定義。
  • 新たな専門医の仕組みは、プロフェッショナルオートノミー(専門家による自律性)を基盤として設計。

《中立的な第三者機関》

  • 中立的な第三者機関を設立し、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を統一的に行う。
  • 第三者機関は、専門医の認定・更新基準や養成プログラム・研修施設の基準の作成を行う。
  • 第三者機関において、専門医の質や分布等を把握するため、専門医等に関するデータベースを構築。

《総合診療専門医》

  • 総合診療医の専門医としての名称は、「総合診療専門医」とする。なお、総合診療医には、日常的に頻度が高く、幅広い領域の疾病と傷害等について、わが国の医療提供体制の中で、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供することが求められる。また、「総合診療専門医」には、他の領域別専門医や他職種と連携して、多様な医療サービスを包括的かつ柔軟に提供することを期待。
  • 「総合診療専門医」を基本領域の専門医の一つとして加える。
  • 「総合診療専門医」の認定・更新基準や養成プログラムの基準は、関連学会や医師会等が協力して第三者機関において作成。なお、臨床研修修了直後の医師が進むコースに加えて、他の領域から総合診療専門医へ移行可能なプログラムも別に用意。

《専門医の養成・認定・更新》

  • 医師は基本領域のいずれか1つの専門医を取得することが基本。自助努力により複数領域の認定・更新基準を満たすのであれば、複数領域の取得を許容。
  • 専門医の認定は、経験症例数等の活動実績を要件とし、また、生涯にわたって標準的な医療を提供するため、専門医取得後の更新の際にも、各領域の活動実績を要件とする。
  • 広告制度(医師の専門性に関する資格名等の広告)を見直し、基本的に、第三者機関が認定する専門医を広告可能とする。

《地域医療との関係》

  • 専門医の養成は、第三者機関に認定された養成プログラムに基づき、大学病院等の基幹病院と地域の協力病院等(診療所を含む)が病院群を構成して実施。研修施設は、必要に応じて都道府県(地域医療支援センター等)と連携。
  • 研修施設が養成プログラムを作成するにあたり、地域医療に配慮した病院群の設定や養成プログラムの作成等に対する公的な支援を検討。
  • 専門医の養成数は、患者数や研修体制等を踏まえ、地域の実情を総合的に勘案して設定。
  • 少なくとも、現在以上に医師が偏在することのないよう、地域医療に十分配慮。

《既存の学会認定専門医からの移行》

  • 専門医の質を担保する観点から、第三者機関において適切な移行基準を作成。移行の時期は第三者機関において速やかに検討。

《スケジュール》

  • 新たな専門医の養成は、平成29年度を目安に開始。研修期間は、例えば3年間を基本とし、各領域の実情に応じ設定。

(参考文献) 「専門医の在り方に関する検討会 報告書」(厚生労働省)より

平成25年3月25日に行われた社会保障審議会介護給付費分科会において、平成24年度の介護報酬改定が介護従事者の処遇改善に反映されているかの検証を行うとともに、次期介護報酬改定のための基礎資料を得ることを目的とした平成24年度介護従事者処遇状況等調査の結果(調査日:平成24年10月1日)が厚生労働省より公表されました。その概要は以下の通りとなります。

1.介護職員処遇改善加算の届出状況

平成24年に介護職員処遇改善加算の届出をしている事業所は86.7%、届出をしていない事業所は12.6%となっている。

 

 

施設・事業所数

届出をしている

届出をしていない

全体

66,783

86.7%

12.6%

 

 

介護老人福祉施設

5,978

96.9%

2.8%

 

介護老人保健施設

3,379

91.5%

8.4%

 

介護療養型医療施設

1,763

55.3%

44.0%

 

訪問介護

20,802

82.6%

16.4%

 

通所介護

25,922

86.3%

13.0%

 

認知症対応型共同生活介護

8,939

94.6%

4.7%

2.介護職員処遇改善加算の届出状況(種類別)

介護職員処遇改善加算の届出状況を種類別にみると、「介護職員処遇改善加算(Ⅰ)」が91.7%と高くなっています。

 

 

施設・事業所数

加算(Ⅰ)

加算(Ⅱ)

加算(Ⅲ)

全体

57,886

91.7%

4.3%

2.9%

 

介護老人福祉施設

5,792

95.7%

1.9%

1.1%

 

介護老人保健施設

3,092

92.8%

4.0%

2.7%

 

介護療養型医療施設

976

86.8%

5.1%

7.0%

 

訪問介護

17,191

90.4%

4.8%

3.2%

 

通所介護

22,382

92.8%

3.9%

2.3%

 

認知症対応型共同生活介護

8,453

89.1%

5.9%

4.4%

(注):「加算(Ⅰ)」とは、介護職員処遇改善加算の算定要件のうち、キャリアパス要件及び定量的要件のいずれも満たす場合、「加算(Ⅱ)」とは、介護職員処遇改善加算の算定要件のうち、キャリアパス要件又は定量的要件のいずれかを満たす場合、「加算(Ⅲ)」とは、介護職員処遇改善加算の算定要件のうち、キャリアパス要件及び定量的要件のいずれも満たしていない場合に算定される加算を指す。

3.介護従事者の給与等の状況

平成24年4月1日から9月30日の間の給与等の状況をみると、「給与等を引上げた」が63.1%と高くなっています。

 

 

施設・事業所数

引上げた

予定あり

予定なし

全体

93,938

63.1%

7.3%

23.5%

 

介護老人福祉施設

5,978

83.2%

5.5%

8.6%

 

介護老人保健施設

3,379

82.5%

5.2%

10.8%

 

介護療養型医療施設

1,763

71.4%

7.6%

18.0%

 

訪問介護

20,802

56.0%

7.2%

31.1%

 

通所介護

25,922

66.9%

7.5%

19.5%

 

認知症対応型共同生活介護

8,939

69.5%

6.6%

19.2%

 

居宅介護支援事業所

27,155

55.4%

7.9%

27.9%

(注):「引上げた」とは、「給与等を引上げた」、「予定あり」とは、「平成23年度の給与水準を維持しているが、1年以内に引き上げる予定がある」、「予定なし」とは、「平成23年度の給与水準を維持しており、1年以内に引き上げる予定がない」ことを指す。

4.給与等の引き上げの実施方法

平成24年4月1日から9月30日の間の介護従事者の給与等の引き上げの実施方法をみると、「定期昇給を実施(予定)」が75.1%と高くなっています。

 

 

施設・事業所数

全体

66,097

13.5%

75.1%

21.8%

12.3%

 

介護老人福祉施設

5,305

7.8%

88.0%

24.6%

10.8%

 

介護老人保健施設

2,965

8.3%

88.8%

19.8%

10.5%

 

介護療養型医療施設

1,392

8.0%

85.9%

21.6%

8.4%

 

訪問介護

13,165

20.8%

60.4%

26.3%

16.5%

 

通所介護

19,295

13.9%

75.0%

24.7%

13.8%

 

認知症対応型共同生活介護

6,802

12.9%

72.6%

21.5%

13.6%

 

居宅介護支援事業所

17,173

10.8%

80.1%

14.8%

7.9%

(注):「Ⅰ」は「給与表を改定して賃金水準を引き上げた(予定)」、「Ⅱ」は「定期昇給を実施(予定)」、「Ⅲ」は「各種手当ての引き上げまたは新設(予定)」、「Ⅳ」は「賞与等の支給金額の引き上げまたは新設(予定)」を指す。

5.介護職員の平均給与額の状況

平成24年に介護職員処遇改善加算の届出をした事業所における介護職員の平均給与額をみると、全体では253,860円、月給の者では276,390円、時給の者では214,930円となっている。また、平成23年と平成24年を比較すると、全体では6,100円の増、月給の者では5,640円の増、時給の者では4,400円の増となっている。

 

平成24年9月

平成23年9月

全体

253,860円

247,760円

6,100円

 

月給の者

276,390円

270,750円

5,640円

 

時給の者

214,930円

210,530円

4,400円

(注):平成23年と平成24年ともに在籍している者の平均給与額を比較している。また、平均給与額は基本給+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)を常勤換算により算出している。

6.介護従事者の平均給与額の状況

平成24年に介護職員処遇改善加算の届出をした事業所における介護職員の平均給与額は253,860円で、平成23年と平成24年を比較すると6,100円の増となっている。介護職員の平均給与額の伸び率は、他の職種に比べて高くなっている。

 

平成24年9月

平成23年9月

伸び率

介護職員

253,860円

247,760円

6,100円

2.5%

看護職員

329,690円

324,470円

5,220円

1.6%

生活相談員・支援相談員

318,890円

315,150円

3,740円

1.2%

理学療法士、作業療法士等

370,610円

363,310円

7,300円

2.0%

介護支援専門員

337,270円

332,030円

5,240円

1.6%

(注):平成23年と平成24年ともに在籍している者の平均給与額を比較している。また、平均給与額は基本給+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)を常勤換算により算出している。なお、「理学療法士、作業療法士等」とは、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員」を指す。

 

(参考文献) 「平成24年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」(介護給付費分科会)より

【2013.2.21】2013年度の主要な医療・福祉・介護関連予算案について

平成25年1月29日に2013年度予算案が閣議決定されました。政権が変わったことにより、平成24年9月に各省庁から出された概算要求を、「暮らしの安心・地域活性化」「復興・防災対策」「成長による富の創出」の3分野に組み替えたものが、今般の2013年度予算案のベースとなっています。このうち、主要な医療・福祉・介護関連予算案につきましては、以下の通りとなっています。

 

1.子育て支援の充実(4,927億円)

待機児童解消のため、保育所などの受入児童数の拡大を図るとともに、地域のすべての子育て家庭を支える機能を強化し、子どもを生み育てやすい環境を整備

待機児童解消等の推進など保育の充実

放課後児童対策の充実

 

2.国民が安心できる医療を実現するための提供体制の整備(57億円)

できる限り住み慣れた地域で、その人にとって適切な医療サービスが受けられる社会の実現に向け、次の医療提供体制の整備のための取組み等を推進

小児等の在宅医療提供体制の整備

薬局を活用した薬物療法提供体制の整備

へき地・離島や救急医療へのアクセスの強化

地域医療支援センターの整備の拡充

 

3.がん対策の充実・強化(106億円)

「がん対策推進基本計画」に基づき、がんによる死亡率を減少させるため、がん登録を進めるとともに、特に対策の充実を図ることが必要な次の取組みを推進

がんの早期発見

がんの緩和治療体制の整備及び職業生活の両立

小児がん対策の推進

 

4.認知症施策の推進(34億円)

今後、高齢者の増加に伴い認知症の人はさらに増加することが見込まれていることから、「認知症施策推進5か年計画」の着実な実施を図り、全国の自治体で、認知症の人とその家族が安心して暮らしていける支援体制を計画的に整備するため、次の取組みを推進

認知症ケアパスの作成・普及

認知症の早期診断・早期対応の体制整備

地域での生活を支える医療・介護サービスの構築及び日常生活・家族支援の強化

地域ケア会議の開催支援

 

5.障害児・障害者の日常生活・社会生活支援の推進(512億円)

障害者総合支援法を着実に推進し、国と地方の適切な役割分担の下、地域の実情を踏まえながら、計画的なサービスの基盤整備を図るため、以下の取組みを実施

社会参加の機会の確保(障害児・障害者の安心ある地域生活の支援)

居住と日中活動の場等の整備

 

6.生活保護(2兆8,376億円)

「自由民主党・公明党連立政権合意」等に基づき、生活保護制度を見直すとともに、生活保護の適正化及び生活困窮者の自立・就労支援等をさらに強化するための事業を実施

生活扶助基準等の見直し

生活保護制度の見直し等

生活保護の適正化対策等の推進

生活保護受給者等就労自立促進事業(仮称)の創設

生活困窮者に対する新たな支援体制の構築

 

7.医療関連分野におけるイノベーションの一体的推進(130億円)

国民が安心して利用できる最新の医療環境を整備するとともに、日本のものづくり力を活かし、世界に先駆けて日本発の革新的医薬品・医療機器を開発するとともに再生医療を推進し、医療関連市場の活性化と我が国の経済成長を実現し、積極的に海外市場へ展開するため、以下の施策を推進

創薬支援機能の強化

民間投資を喚起する治験環境整備

審査・安全対策の充実・強化

重点領域における創薬研究開発等の強化

再生医療の推進

個別化医療等の推進

 

(参考資料) 「平成25年度予算案の概要」(厚生労働省)より

【2013.2.3】介護分野の今後の課題

平成25年1月21日に行われた社会保障審議会介護保険部会において、介護分野の今後の課題について議論が行われました。その内容は「社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関するこれまでの議論の整理」に基づき、以下の8点にまとめることができます。

 

1.要支援者に対する給付

社会保障・税一体改革において、重度化予防・介護予防として要介護認定者数を2025年に現行ベースより3%程度減少させることが課題となっていることを踏まえ、この実現に向けた制度的な対応としての利用者負担の引上げの是非及び給付の内容や方法についての検討の必要性についてどう考えるか。

⇒ 利用者負担割合の引上げについては、要介護の程度によって自己負担の引上げや新たな利用者負担の導入を検討する時期に来ている、給付の内容に応じて自己負担の割合に差をつけることも検討すべきとの意見があった一方、早期発見を通じた重度化防止が重要であり、利用抑制により重度化が進みかえって費用がかかるとの立場から反対する意見も多かった。

⇒ しかしながら、利用者負担割合の引上げに反対する立場からのものも含めて、サービスが利用者の自立支援に資するものとなっているか否かの検証が必要である、要支援者に対する給付の内容についてリハビリテーションなど予防の効果の高い給付に重点化していくことが必要である、予防効果のないものは給付の対象から外すべき、予防給付のケアプランチェックが重要であるなどの意見も多くあった。

 

2.ケアマネジメント

自立支援に向けてケアマネジメントの機能強化を図る観点から、ケアマネジメントについて利用者負担を導入することの是非と制度的な対応の必要性についてどう考えるか。

⇒ 利用者負担の導入については、これにより利用者のケアプランへの関心が高まりケアマネジャーと利用者のコミュニケーションが促進される、ケアマネジャーの専門性があれば、ケアプランの自己作成が増えることはなく、専門性と質向上の必要性についての理解を深めることが必要との立場から賛成する意見があった。

⇒ 一方で、公平で自立支援に資するケアプランになるかどうか、利用者の要望を組むだけのプランが増えるのではないかとの懸念、所得の多寡にかかわらず、公正中立なケアマネジメントを受けられることが重要であること、ケアマネジメントが介護保険利用の入り口であり、利用者の代弁機能も担っていること、まずはケアマネジャー資質向上を図るべき現段階では時期尚早、などの立場から反対する意見があった。しかしながら、利用者負担の導入に反対する立場からのものも含めて、ケアマネジャーの資格の在り方、質の向上について早急に検討を行うべき、利用されているサービスが自立支援に資するものとなっているかどうか、ケアマネジメントの在り方も含めて検証すべきとの意見が表明されており、ケアマネジメントの機能強化に向けての制度的な対応の必要性については認識が共有されている。

 

3.補足給付における資産等の勘案

世代内(特に高齢世代内)での公平の確保、所得再分配機能の強化の観点から、在宅や居住系サービス利用の場合は自己負担となる居住費について、施設入所の場合には補足給付により助成を受ける一方、その結果保有する居住用財産や預貯金が保全される現在の仕組みを見直すことについてどう考えるか。

⇒ これに対しては、社会保険制度内で資産を取り扱うことや低所得者対策を行うこと、居住用財産を流動化してフローの負担に充てられないこと、資産等を把握することが実務的に困難であることに対する懸念や意見が示されたものの、若い人よりも高齢者の方が資産保有は多いこと、今後生産年齢人口が減少していく中で資産に着目した負担を重視していく必要があること、今後社会保障・税共通番号の導入により、現在は名寄せが困難である金融資産についての把握も行いやすくなる可能性があることなどの立場から、補足給付における資産の勘案についいて肯定的な意見が多かった。

⇒ リバース・モーゲージなど居住用財産の流動化の試みや、諸外国において採用されている死後精算制度などを含めて、今後、財産の勘案の具体的な仕組みづくりに向けた、実務的な検討を早急に開始すべきである。

 

4.一定以上の所得がある者に対する給付

社会保障・税一体改革においては、世代内(特に高齢世代内)での公平の確保、所得再分配機能の強化を図ることとしている観点から、一定以上の所得がある者に対する利用者負担の割合を引き上げることの必要性と、その場合一定以上所得がある者の範囲についてどう考えるか。

⇒ これに対し、介護保険制度は支給限度額があり、サービスの利用も長期に渡ることを考慮すべき、高齢世代での公平性の確保や所得再分配機能の強化は利用者負担ではなく所得に応じた保険料負担によって行うべきとの意見が示されたが、若年層に負担を求める以上、高齢者も保険料負担や利用者負担などでの応分の負担はしていかなければならないことなどを踏まえ、一定以上の所得者について、必要なサービスの利用抑制とならないよう配慮の上で利用者負担の割合の引上げはやむを得ないのではないかとの意見も多く見られた。

 

5.介護施設の重点化

社会保障・税一体改革の中で、施設サービスの中重度者への重点化が掲げられていることを踏まえ、軽度要介護者(要介護1、2)の施設サービスの給付額が在宅における支給限度額を上回ることについてどう考えるか。

⇒ これに対しては、在宅の支給限度額を超えているのは施設サービスの機能の特性から医療サービスに係る費用が保険給付の中に包括的に含まれているという要素も影響していることから追加的な負担についての懸念が示されたが、施設サービスを重度者向けに重点化していく観点から、施設の機能も踏まえつつ、居宅サービスの支給限度額を上回る部分について、負担割合を高める見直しを行うべきなどの意見が見られた。

 

6.多床室の給付範囲

社会保障・税一体改革に掲げられている、要介護高齢者の尊厳の保持と自立支援を図る施設の個室ユニット化を推進する観点から、施設の減価償却費相当について全額負担するユニット型個室と介護報酬で手当てされている多床室との不均衡を是正し、多床室の入所者にも一定の負担を求めることについてどう考えるか。

⇒ これに対し、多床室については低所得者の利用も多いことから、室料の負担を求めるのは避けるべきとの意見が多く見られた。一方で、低所得の人は多床室でそうでない人はユニット型個室というのは問題であり、負担の均衡を図るべきとの意見もあった。

 

7.1号保険料の低所得者保険料軽減強化

現行の1号保険料が所得段階別に原則として6段階設定となっているが、今後の高齢化の進行に伴う保険料水準の上昇及び消費税率の引上げに伴う低所得者対策強化の要請を踏まえ、現行の給付費に対する50%の公費負担に加えて公費を投入することにより、低所得者への配慮を強化する必要があること、その際には、所得だけでなく財産等の状況も踏まえ、より負担能力が低いと認められるものについて、基準額に乗じる割合を更に引き下げることについてどう考えるか。

⇒ これに対し、財産等を考慮して保険料水準を設定することについて懸念が示されたものの、低所得者に対して保険料の軽減強化を行うことについては、全般的に肯定的な意見であった。なお、実施に当たっては、国の責任と財源で基準の設定等を行うべきとの意見や、公費負担については国と地方の両者で対応すべきとの意見があった。

 

8.介護納付金の総報酬割導入

現在の40~64歳が負担する第2号保険料は、その加入する医療保険の加入者数に応じて負担する介護納付金の額が決められているため、2号被保険者1人当たりの報酬額の高い医療保険者は低い保険者と比較して、報酬額に対する介護保険料の割合が低率となっているとの説明とともに、今後高齢化の進行に伴って増加する介護費用を公平に負担する観点から、応能負担の要素を強化し、介護納付金の負担を加入者の報酬に応じたもの(総報酬割の導入)とすることが必要ではないかということについてどう考えるか。

⇒ これに対し、負担能力に差のある共済・健保組合と協会けんぽの間の負担の公平化を図り、制度の持続可能性を確保すべきであること、介護給付との結びつきが薄い2号被保険者に多額の保険料を課することへの疑問が呈せられているが、家族の介護負担の軽減という恩恵は受けているので、やはり負担の応能性を高める観点から導入すべきであること、予防効果のある給付に重点を置いていくことや所得の高い高齢者の利用者負担の引上げと併せて負担に理解を得られないかということ、若年世代間の負担の公平化は、国庫負担にできるだけ依存しない形を目指し、2号被保険者の間でその負担をよりよく分かち合う仕組みとすべきであること、介護報酬の地域区分の見直しと併せて相対的に所得の高い都市部の2号被保険者に負担能力に応じた負担を求めることは合理的と考えられることなど、負担の応能性を高めることが公平性を高めるとの立場や処遇改善の財源確保により介護サービスの円滑な提供を確保すべきとの立場から賛成する意見が多く見られた。

⇒ 一方、制度発足時に社会的扶養の側面も有する現役世代についての費用負担のあり方を加入者割とした考え方を尊重すべきであること、総報酬割はこの考え方を根本から変えるものであり、給付と負担のあり方について十分な議論が必要であること、総報酬割の導入は応能性の強化というものの、介護職員の処遇改善の財源確保の辻褄合わせに他ならず、その前に給付の重点化、費用の伸びの抑制に注力すべきであること、経済全体で賃金水準が低下している中で、拡大を続ける介護分野に対する処遇改善の原資を総報酬割の導入で得られる財源を転用して賄えば、他の産業から追加的な負担を求めることになること、第2号被保険者は介護給付を受けることが極めて希であるにもかかわらず、総報酬割で重い負担を強いられるものが発生することに事業主や被保険者の理解は得られないことなど、社会保障負担の増加する現役世代の保険料負担とこれに伴う雇用への影響に配慮すべきとの立場から、強い反対意見があった。

 

(参考資料) 「社会保障審議会介護保険部会(第42回、平成25年1月21日)」資料より

1.キャリア段位制度とは

平成25年1月より、介護分野においてキャリア段位制度が開始されました。キャリア段位制度とは、成長分野における新しい職業能力を評価する仕組みで、企業や事務所ごとにバラバラでない共通のものさしを作り、これに基づいて人材育成を目指すものです。

これまでの資格制度で不足していた「実際にその現場で何ができるのか」という部分を補うため、「わかる(知識)」と「できる(実践的スキル)」の両面を評価するもので、「介護プロフェッショナル」については、既存の国家資格制度や研修制度との関係も考慮し、特に、実践的スキルについて重点的に評価するものです。エントリ−レベルからプロレベルまで、7段階でレベル認定を行います(キャリア段位)。

レベル

介護プロフェッショナル

レベル1

(エントリーレベル、職業準備教育を受けた段階)

初任者研修により、在宅・施設で働く上で必要となる基本的な知識・技術を修得

レベル2

(一定の指示のもとに、ある程度の仕事ができる段階)

一定の範囲で、利用者ニーズや、状況の変化を把握・判断し、それに応じた介護を実践。基本的な知識・技術を活用し、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践。

レベル3

(指示等がなくても一人前の仕事ができる段階)

利用者の状態像に応じた介護や他職種の連携等を行うための幅広い領域の知識・技術を習得し、的確な介護を実践。

レベル4

(一人前の仕事ができることに加え、チーム内でリーダーシップを発揮することができる段階)

チーム内でのリーダーシップ(例:サービス提供責任者、主任等)。部下に対する指示・指導。本レベル以上が「アセッサ−」になれる。

レベル5

(プロのスキルに加えて、特定の専門分野・業種における更に高度な専門性を持つ、あるいは、その人の独自の方法が顧客等から認知・評価されている段階)

多様な生活障害をもつ利用者に質の高い介護を実践。介護技術の指導や職種間連携のキーパーソンとなり、チームケアの質を改善。

レベル6

レベル7

(その分野を代表するトップ・プロフェッショナルの段階)

2.介護の現場

今後、現役で働く労働者の人口は大きく減少することが見込まれていますが、その一方で、必要な介護職員数は倍増すると推計されています。実際に、近年の就業者数の推移をみても、医療・福祉分野の就業者数は、平成14年の474万人から平成22年の653万人へと大幅に増加しています。

しかしながら、介護職員の離職率は、全産業における離職率と比較すると高い傾向にあることから、介護職員の定着率を高めていくことが重要であり、介護分野への新たな労働者の参入を促すことが求められています。

介護職員は、「仕事内容の割に賃金が低い」、「業務に対する社会的評価が低い」といった不満を抱え、また、「利用者に適切なケアができているか」不安に思っています。

このような状況の中、現場で役に立つ実践的なスキルについて目指すべき水準を明確にするとともに、これを処遇や社会的評価の改善に結びつけて行くことが重要です。

キャリア段位制度を導入することは、このような観点からも有用であると考えることができます。

3.キャリア段位制度ができると職員にとって何が変わるのか

〇現場で何ができるかを証明できます

介護福祉士の資格を持っているとか、ホームヘルパー研修を修了したというだけでなく、「現場で実際になにができるか」が証明できます。具体的には、入浴や排泄等の介護技術や、利用者・家族とのコミュニケーション、感染症や事故への対応、地域包括ケアの実践的スキル等を現場で仕事をする中で共通のものさしで評価します。

〇やりがいや処遇改善の材料につながります

「キャリア段位」の取得を目標に、できていないことを認識して現場で取り組むことによって、やりがいやスキルアップのモチベーションにつながります。また、給料や評価を決める際の重要な材料になるので、処遇改善につながることが期待されています。

〇転職の際のデメリットを軽減できます

ジョブカードにキャリア段位制度の中で評価された実践的スキルの評価結果を記載して、求職活動に活用すれば、転職する際のデメリットが軽減されます。

〇介護分野への参入を促します

これから介護職を目指す若い人にとって、キャリアパスが見えやすくなり、介護分野への参入を促します。

4.キャリア段位制度ができると事業所にとって何が変わるのか

〇評価にはアセッサ−が必要

実践的スキルの評価について、施設・事業所内で評価を行う「アセッサ−」を職員の中から選び、講習を受講する必要があります。

〇サービス水準をアピールできる

「キャリア段位」を取得した職員が多ければ、質の高いサービスを提供していることをアピールできます。将来的には、介護報酬への反映も検討することとされています。

〇職員のやりがい等を引き出し、定着率の向上につながる

職員のやりがいやスキルアップのモチベーションにつながり、定着率を高めることができるようになります。

5.段位の評価方法

評価は、「実践的スキル(できる)」と「知識(わかる)」の両面から行われます。

〇実践的スキルの評価

(内部評価)

介護サービスを提供している事業所・施設において、一定の要件を満たした「アセッサ−」と呼ばれる人が、介護職員の日頃の仕事の様子や業務の記録等を実際に見て評価することとされています。

(外部評価)

併せて、事業所・施設において評価が適切に行われていることを第三者機関が評価することとされています。

〇知識の評価

既存の介護福祉士資格など国家資格との関係を明確にすること、資格との関係を複雑にしない観点から、原則として、介護福祉士養成課程、介護初任者研修等の講義を修了したことで、評価することとされています。

6.アセッサ−について

制度開始から3年間程度は、介護部門のリーダーとして一定の要件を満たせば、アセッサ−講習を受講する要件を満たすこととする予定になっています(アセッサ−はレベル4以上とし、必要な講習を修了した上で、登録されたものとするとされていますが、制度開始時点ではレベル4の認定を受けた方がいないため)。

アセッサ−を担う能力があると認められる者については、アセッサ−講習を受講し、評価の実施方法等について取得することになっています。

なお、アセッサ−講習については、平成25年1月以降、まずは被災3県(岩手県、宮城県及び福島県)において、被災3県の事業所・施設に従事する介護職員に対して実施されます。

(参考資料) 内閣府パンフレット「平成24年度からキャリア段位制度が始まります」より

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