「社会保険労務士 医療・福祉・介護総合研究所」 は、医療 (病院、診療所、歯科医院)・福祉・介護施設を専門に研究を行う研究機関(社会保険労務士 (社労士) 事務所)で、就業規則や人事評価表の作成など特に人事・組織マネジメントの分野に強みがあります。
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平成23年10月から、子ども手当の支給金額が変更になりました。
平成23年9月までは、0歳~中学校卒業まで(15歳に達した日以降最初の3月31日まで)の子ども一人につき、月額13,000円が支給されていましたが、平成23年10月からは、子どもの年齢や出生順に応じて受け取れる手当の金額が下表の通りに変更となりました。
なお、平成24年度以降の子ども手当の支給金額等は、現在、政府において議論されているところです。
支給対象年齢 | 支給月額 | ||
---|---|---|---|
0歳~3歳未満 | 15,000円 | ||
3歳~小学校修了前 | 第1子・第2子 | 10,000円 | |
第3子以降 | 15,000円 | ||
中学生 | 10,000円 |
ここで、子どもの貧困率ということについて考えてみましょう。
全国民の年間の可処分所得を少ない方から並べ、中央の金額(平成21年は224万円)の半分の水準(貧困線という、平成21年は112万円)に満たない世帯員の割合を相対的貧困率といい、そのような可処分所得の水準の家庭で育てられる18歳未満の子供の割合のことを子どもの貧困率といいます。
2000年代中頃の所得再分配の前後でみた子どもの貧困率を国際比較すると下表のようにまとめることができます。
当初所得 | 再分配後 | |
---|---|---|
オーストリア | 27.3 | 11.8 |
ベルギー | 22.9 | 10.0 |
カナダ | 23.7 | 15.1 |
チェコ | 30.7 | 10.3 |
デンマーク | 13.1 | 2.7 |
フィンランド | 15.8 | 4.2 |
フランス | 21.6 | 7.6 |
ドイツ | 27.0 | 16.3 |
アイルランド | 25.8 | 16.3 |
イタリア | 24.4 | 15.5 |
日本 | 12.4 | 13.7 |
オランダ | 20.0 | 11.5 |
ニュージーランド | 27.4 | 15.0 |
ポルトガル | 17.5 | 16.6 |
スウェーデン | 15.0 | 4.0 |
スイス | 12.8 | 9.4 |
英国 | 25.1 | 10.1 |
アメリカ | 27.4 | 20.6 |
(単位:%)
この国際比較をみると、日本の所得再分配後の子どもの貧困率は13.7%となっており、これは当初の所得における子どもの貧困率12.4%を上回る結果となっています。
このように再分配前後で比較した場合に、再分配後の方が子どもの貧困率が高くなるのは上表の国の中では日本のみであり、また、再分配後における日本の子どもの貧困率は、国際的にみて高い水準にあることがわかります。
平成23年版厚生労働白書では、子育て世代の相対的貧困率が上記のように所得再分配後で増加することを示した上で、社会保障機能の再分配機能が高齢世代への移転に偏りすぎ、若年の貧困世代に及んでいないという問題もあることを指摘していますが、今後の子ども手当などの社会保障政策を考えるにあたっては、このような所得再分配後の子どもの貧困率を改善していくという観点から社会保障制度を設計していくことも必要でしょう。
(資料出典)
平成23年版厚生労働白書
平成22年国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)
「10月からの子ども手当Q&A」(厚生労働省)
平成23年11月22日に行われた行政刷新会議の提言型政策仕分けにおいて、医療サービスや介護サービスのあり方について議論が行われましたが、その評価結果として以下の方向性が示されました。
(資料出典)
行政刷新会議「提言型政策仕分け」評価一覧結果より
現在、医療機関における病床については、精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床、一般病床の5つの区分に分類されていますが、このような病床の機能分化の現状については、以下の点を指摘することができます。
こうした現状に鑑み、厚生労働省は、以下の3点を病床区分の見直しに関する論点として、社会保障審議会医療部会に提示しました。
このような論点を踏まえ、厚生労働省は、一般病床の中に急性期病床(仮称)を制度的に位置づけていくことを求めていく考えを明らかにし、急性期病床群(仮称)を制度上位置づけるとした場合の論点として、以下の点を提示しました。
(参考資料)
第23回社会保障審議会医療部会資料より(平成23年11月17日)
医療費は、2010年度の概算で対前年度比で3.9%増の36.6兆円となり過去最高を更新していますが、このうち調剤費の占める金額は6.1兆円で、医療費全体の16.6%を占めるに至っています。
医療費は今後ますます増加していく傾向にあると考えられますが、政府は医療費を抑制するため後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及を図りたいと考えております。
後発医薬品とは、新薬の特許が切れた後、厚生労働省の承認を得て販売されるものであり、新薬と同じ成分・同じ効き目で、一般的に新薬より安価な価格設定になっている薬のことを指します。
他の多くの先進諸国では、後発医薬品の普及率(数量シェア)は50%を上回っておりますが、我が国においては、平成21年9月時点での後発医薬品の数量シェアは20.2%、金額シェアは7.6%、また、調剤の電子レセプトにおける後発医薬品の調剤率(数量ベース)は、平成22年4月時点で21.8%、平成23年3月時点で22.4%となっており、その普及が遅れております。
もし仮に、日本国内での後発医薬品の普及率が欧米並みとなれば、2兆円規模での医療費の圧縮が可能となり、また、後発医薬品の普及は患者の負担軽減にも資することから、政府は、平成24年度までに後発医薬品の数量シェアを30%以上とすることを目標に、「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」(平成19年10月)を策定し総合的な取組を行なっている他、社会保障・税の一体改革成案におても「後発医薬品の更なる使用促進」が医療・介護等分野における具体的改革項目として示されているところです。
このような状況の中で、平成23年11月9日に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では、後発医薬品の普及に向けて、新たにいくつかの方針が厚生労働省により提示されました。
平成22年度診療報酬改定において後発医薬品の使用促進策として、薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直しが行われましたが、後発医薬品の使用状況の調査結果に対する中医協検証部会(以下、検証部会)の調査結果では、平成23年の後発医薬品調剤率(数量ベース)は平成22年と比較してわずかではありますが増加しているとともに、個々の保険薬局においても調剤率が高い方に移行してきています。
その一方で、約半数の保険薬局は依然として本加算を算定しておらず、保険薬局の対応は2極化している状況です。
このような状況を踏まえ、保険薬局のさらなる取り組みを促すため、全体の数量をさらに引き上げるためのインセンティブとなるよう調剤報酬の算定要件を含めた加算のあり方を検討することとしました。
また、調剤数量算定にあたってのインセンティブを合理的に確保する観点から、診療報酬上の後発医薬品の扱い、あるいはその他薬剤の算定上の扱いを検討することとしました。
ジェネリック医薬品軽減額通知には一定の効果がみられているものの、実際に受け取っている患者はまだ少なく、また、患者が後発医薬品に切り換えようと思ったきっかけの中には、薬剤師からの説明や後発医薬品に関する宣伝等の割合が高い一方で、薬局で後発医薬品への変更を希望していながら、後発医薬品がない薬であることや既に後発医薬品が処方されていることを知らない患者がいます。
このような状況を踏まえ、後発医薬品に関する情報提供(価格情報を含む)を充実させる手段として、保険薬局での調剤に際し患者に渡される「薬剤情報提供文書」を活用することを検討することとしました。
平成22年度診療報酬改定において、医療機関の薬剤部門が後発医薬品の使用を促進するための体制を整えるとともに、後発医薬品の採用品目数の割合が20%以上の場合の加算を創設したところですが、検証部会の調査結果では、加算を算定している病院は平成23年度においても、依然として少ない状況です。
また、検証部会の調査結果では、病院における入院患者への後発医薬品の使用をすすめる要件及び医師の使用をすすめる要件として、「処方する際の診療報酬上の評価」という回答がありました。
このような状況を踏まえ、医療機関におけるさらなる取組をすすめるため、保険薬局における後発医薬品調剤体制加算を視野に入れつつ診療報酬上の評価についての検討を行うこととしました。
検証部会の調査結果では、保険薬局が後発医薬品への変更をすすめるための要件として、「一般名処方が普及すること」との回答が最も多く、医師に望むこととして、「一般名処方がすすむこと」との回答がありました。その一方、医師の立場として後発医薬品の処方をすすめる要件として、「一般名処方を行いやすくする環境の整備」との回答がありました。
また、検証部会の調査結果では、「後発医薬品への変更不可」欄に署名がある処方せんの割合は31.0%と減少傾向にあります。
その一方、主に一部の医薬品が変更不可であるにもかかわらず、「すべてを変更不可」として署名をしたケースもあるのではないかと伺えます。
また、保険薬局においては、後発医薬品の調剤について「薬効によっては取り組んでいる」との回答が29.4%あり、後発医薬品の使用をすすめる上で医師に望むこととして、「患者が希望する場合、処方せんに変更不可の署名をしないこと」、「一般名処方とすること」との回答が多くありました。
このような状況を踏まえ、保険薬局における医薬品(特に後発医薬品)の在庫管理の負担を軽減するため、(1)医師が一般名処方を行うこと、また、諸外国の様式を参考にしつつ、(2)個々の医薬品について変更の可否を明示する(個別の変更不可欄を設ける等)様式に変更すること、について検討することとしました。
(資料出典)
中央社会保険医療協議会総会資料(平成23年11月9日)
「医療業界の動向とカラクリがよ~くわかる本」『秀和システム』(水田吉彦)
平成23年10月31日、社会保障審議会介護保険部会が行われ、
について議論が行われました。その概要をまとめると以下の通りとなります。
現在、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)1人当たりの保険料額は、
介護給付費の30%÷第2号被保険者数=1人当たり保険料額
の算式で計算されており、健康保険組合、共済組合、協会けんぽ、国民健康保険のどの保険者に属していても、被保険者1人当たりの保険料負担額は同じです。平成20年度の第2号被保険者の1人当たり負担額は月額で3,944円でした。
しかしながら、医療保険者間では、第2号被保険者の1人当たり報酬額は大きく異なります。例えば、平成20年度の決算データによると、第2号被保険者の1人当たり報酬額は、健康保険組合で年額平均463万円、協会けんぽで年額平均318万円となり、また、健康保険組合内でも上位10組合では年額平均825万円、下位10組合では年額平均279万円となり、負担能力は様々となります。
この報酬額を反映した保険料額を徴収しようとする仕組みが総報酬割です。厚生労働省の試算によると、第5期(平成24~26年度)平均の第2号被保険者1人当たりの負担額の月額見込額は、総報酬割を導入しない場合には4,900円となる一方で、完全に総報酬割を導入する場合には、健康保険組合で5,800円、協会けんぽで4,000円になるとされております。
また、3分の1の割合で総報酬割を導入する場合には、第2号被保険者1人当たりの負担額は、健康保険組合で5,200円、協会けんぽで4,600円となり、総報酬割の完全導入の場合1,300億円の、3分の1の割合で導入の場合430億円の国庫補助が不要になると試算されております。
その上で、厚生労働省は介護保険部会に対し、
という点を論点として提示いたしました。
社会保障・税一体改革においては、重度化予防・介護予防として要介護認定者数を2025年に現行ベースより3%程度減少させることが課題となっていますが、この実現に向けた制度的な対応として、予防給付について利用者負担割合を引き上げることについてどう考えるか、また、予防給付の内容や方法について検討が必要ではないか、という点が論点として提示されました。
社会保障・税一体改革においては、自立支援にむけてケアマネジメントの機能強化を図ることとされていますが、この観点に立って、ケアマネジメントの利用者負担の導入はどう評価されるか、また、昨年の議論において利用者負担の導入についての懸念として挙げられたサービス利用抑制による重度化などの影響について、ケアマネジメントの専門性の観点からどう評価されるか、さらに、ケアマネジメントの機能強化に向けて制度的な対応の必要性についてどう考えるか、という点が論点として提示されました。
「世代内(特に高齢世代内)での公平の確保、所得再分配機能の強化を図る」(「社会保障・税一体改革成案」)観点から、一定以上の所得がある者については、利用者負担割合を引き上げることが必要ではないか、また、利用者負担割合を引き上げる場合、対象となる「一定以上の所得がある者」の範囲についてどう考えるか、という点を論点として提示する一方で、厚生労働省は、高所得者の水準について、介護保険における保険料第6段階の第1号被保険者、つまり、年収320万円(合計所得金額200万円)以上を1つの目安として示しました。
社会保障・税一体改革においては、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常生活の中で入所者一人ひとりの意思と人格を尊重したケアを行い、要介護高齢者の尊厳の保持と自立支援を図る施設のユニット化を進めることとしていますが、厚生労働省は、これに対し以下の論点を提示いたしました。
「世代内(特に高齢世代内)での公平の確保、所得再分配機能の強化を図る」(「社会保障・税一体改革成案」)観点から、在宅や居住系サービス利用の場合は自己負担となる居住費について、施設入所の場合には補足給付により助成を受ける一方、その結果保有する居住用資産や預貯金が保全されることについて見直しが必要ではないか、また、昨年の議論においては、正確な資産把握の困難さや保険者の事務負担の増加等への懸念が示されてましたが、上記の観点に立って、具体的に運営可能な仕組みの検討に着手すべきではないか、という点が論点として提示されました。
要介護度1や要介護度2の場合、特別養護老人ホーム等の施設での介護サービスの平均給付額が、在宅での介護サービスの支給限度額を上回っていることから、介護をそれほど必要としない軽度者の施設入居を抑制してはどうか、という点が論点として提示されました。
厚生労働省より、以下の点が論点として提示されました。
(参考資料)
社会保障審議会介護保険部会(第39回)提出資料より(平成23年10月31日)
平成23年10月21日、中央社会保険医療協議会(中医協)と社会保障審議会介護給付費分科会は、2012年度に行われる診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて初めて意見交換会を行いました。診療報酬は2年に1度、介護報酬は3年に1度、改定が行われることとなっていることから、2012年度には6年に1度となる診療報酬と介護報酬の同時改定が行われることになりますが、この意見交換会においては、診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて、以下のような論点及び課題等が議論されました。
入院中から、退院後の療養生活支援を視野に入れた
などについて、どのように考えるか。
なお、中央社会保険医療協議会は、医療と介護の連携の議論に必要な視点として、以下の点を挙げています。
(資料出典)
「中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会」資料より
(平成23年10月21日)
「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が平成23年6月15日に成立し、同年6月22日に公布されました。
当該法律は、高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムの実現に向けた取組を進めることを主な内容とするものであり、その概要をまとめると以下の通りとなります。
なお、(1)5.、(2)2.については公布日施行、その他は平成24年4月1日施行です。
さて、上記(2)3.で示した通り、当該法律では、介護事業所における労働法規の遵守を徹底し、事業所指定の欠格要件及び取消要件に労働基準法等の違反者を追加することとされましたが、下表から、労働基準法等の違反事業場比率は、社会福祉施設では77.5%となっており、全産業の68.5%を上回っていることがわかります。
特に、労働基準法37条違反(割増賃金不払)の事業者比率が、社会福祉施設では35.8%となっており、全産業の18.1%を大きく上回っていることには注意が必要です。
社会福祉施設 | 全産業 | |
---|---|---|
違反事業場比率 | 77.5% | 68.5% |
労働基準法24条違反(賃金不払) | 5.8% | 3.2% |
労働基準法37条違反(割増賃金不払) | 35.8% | 18.1% |
最低賃金法4条違反(最低賃金不払) | 4.7% | 2.8% |
また、下表から、労働基準法違反による社会福祉施設の送検についても少なからず存在することがわかります。
平成18年 | 平成19年 | 平成20年 |
---|---|---|
11件 | 15件 | 11件 |
このように、介護人材の確保を図るためには、事業者による労働環境整備の取組を推進することが重要ですが、介護事業を含む社会福祉関係の事業は、全産業と比較して労働基準法等の違反の割合が高いことがわかります。
平成24年4月1日からは、事業所指定の欠格要件及び取消要件に労働基準法等の違反者が追加されることとされましたが、労働基準法等に違反している事業所においては、平成24年4月1日からの当該法律の施行にかかわらず、早急に法違反の状況を是正し、健全な事業所経営をすることを肝に命ずべきであることは言うまでもありません。
(資料等出典)
第76回社会保障審議会介護給付費分科会資料(平成23年6月16日開催)
本年7月1日に『社会保障・税一体改革成案』が閣議報告されたことは記憶に新しいですが、この『社会保障・税一体改革成案』においては、「社会保障給付の規模に見合った安定財源の確保に向け、まずは、2010年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する」ことが政府の方針として決定されました。
このように消費税の引き上げが政府の方針として閣議報告されましたが、消費税の引き上げが実現するかどうかについては、今後も予断を許さない状況にあると考えられます。
しかしながら、今後、大幅な増加が予想される社会保障給付費等を考えれば、将来的に国民一人ひとりの負担が重くなっていくことは間違いないといえるでしょう。
将来的に増加していくことが予想される国民の負担ですが、現在、どれくらい費用の負担を負っているのかを端的に表した指標が国民負担率です。国民負担率とは、国民所得比でみた租税負担と社会保障負担の比率の合計を表すもので、
国民負担率=租税負担率+社会保障負担率
と表せます。
また、財政赤字を考慮にいれた国民負担率を潜在的な国民負担率といい、潜在的な国民負担率は、
潜在的な国民負担率=国民負担率+財政赤字国民所得比
と表すことができます。
現在の我が国の国民負担率を諸外国と比較してみてみると、以下の表のようにまとめることができます。
(国民所得費:%) | 日本 | アメリカ | 英国 | ドイツ | スウェーデン | フランス |
---|---|---|---|---|---|---|
社会保障負担率 | 16.8 | 8.6 | 10.5 | 21.7 | 12.1 | 24.3 |
租税負担率 | 22 | 24 | 36.2 | 30.4 | 46.9 | 36.8 |
国民負担率 | 38.8 | 32.5 | 46.8 | 52.0 | 59.0 | 61.1 |
国民負担率(対GDP比) | 28.1 | 26.4 | 37.3 | 39.3 | 43.7 | 45.2 |
財政赤字対国民所得比 | -11 | -7.4 | -6 | 0 | 0 | -4.5 |
潜在的な国民負担率 | 49.8 | 39.9 | 52.8 | 52.0 | 59.0 | 65.6 |
潜在的な国民負担率 (対GDP比) | 36.2 | 32.3 | 42.1 | 39.3 | 43.7 | 48.5 |
日本 | アメリカ | 英国 | ドイツ | スウェーデン | フランス | |
---|---|---|---|---|---|---|
付加価値税率 | 5% | ※ | 17.5% | 19% | 25% | 19.6% |
高齢化率 | 23.1% | 13.0% | 16.6% | 20.5% | 18.3% | 17.0% |
(注)
(資料出典)『厚生労働白書平成23年版』
厚生労働白書平成23年版では、日本の国民負担率は、英国とアメリカの中間くらいの比較的低い水準にありますが、財政赤字を考慮にいれた潜在的な国民負担率は、英国、ドイツと同程度となり、スウェーデン、フランスより若干低くなる水準にあると分析しています。
また、国の債務まで考慮すると日本にも諸外国並みの負担があることになり、かつ国債部分はその負担を後代に先送りしていることになることを指摘しています。
日本の消費税率(付加価値税率)は他の諸外国と比較するとまだ低い水準にあり、かつ、国民負担率も比較的低い水準にあることから、一見すると消費税率の引き上げの余地があるように思われますが、財政赤字を加味した潜在的な国民負担率は、厚生労働白書の指摘する通り、他の諸外国と比較しても十分低い水準にあるということはできず、注意が必要であると考えられます。
社会保障給付の規模が現在のように高い水準となり、今後も拡大していく傾向にある状況からすれば、消費税率の引き上げはやむを得ないと考えられますが、その一方で、財政赤字を確実に減らしていく努力も求められるでしょう。
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