「社会保険労務士 医療・福祉・介護総合研究所」 は、医療 (病院、診療所、歯科医院)・福祉・介護施設を専門に研究を行う研究機関(社会保険労務士 (社労士) 事務所)で、就業規則や人事評価表の作成など特に人事・組織マネジメントの分野に強みがあります。

社会保険労務士 阿部オフィス

〒274-0825 千葉県船橋市前原西2-22-13 シャルマン津田沼103

営業時間

月〜金 9:00〜18:00
(定休日:土日祝)

お気軽にご連絡・ご相談ください

047-407-4308

【2012.10.15】 「お泊りデイ」に関する調査結果について

平成24年9月5日に、平成23年度に実施された「デイサービス利用者の宿泊ニーズ等に関する調査事業(モデル事業)」の結果が厚生労働省から公表されました。この事業は、既存のデイサービス等において、宿泊サービス等を一定の条件のもとで提供し、デイサービス利用者等の緊急・短期間の宿泊ニーズへの対応や課題等について、検討を行うための調査研究事業で、15の自治体、20の事業所で実施されました。その結果の概略は以下の通りです。

 

1.宿泊サービスの利用者及び利用状況

  • 調査対象月の1月あたりで96名が利用。
  • 利用者の平均要介護度は2.9、認知症自立度ではⅡ以上が92.1%。
  • 独居又は高齢者のみ世帯の割合は34.6%であり、他は家族との同居世帯となっている。
  • 1回あたりの利用日数については、1泊2日の利用が68.5%を占める。
  • 利用者1人当たりの利用回数は、1月あたりで1回の者が35%と最も多い。
  • 宿泊サービス利用の申込みは、2週間以上前からの予約が72.3%を占める。

2.宿泊サービスの提供実態

  • 宿泊サービスの提供は、調査月で5日以下だった事業所が47.3%と最も多い。
  • 宿泊費用の利用者負担は、平均で1,500円となっている。
  • 宿泊サービス提供日1日当たりの利用者数は、平均で1.73人/日となっている。

3.宿泊サービスをどのように考えているか(アンケート結果より)

  • 利用者の家族は、利用者の家族の状態やニーズにより宿泊サービスを利用したいが57.5%となっている。
  • ショートステイが利用できる場合であっても、慣れ親しんだデイサービスでの宿泊を積極的に活用したいと考えている家族やケアマネージャーが多い。
  • 宿泊サービスの利用により、非常に介護負担の軽減になり在宅生活継続の助けになると利用者家族の63.2%が考えている。
  • 宿泊サービス未利用者の家族について、62.4%が今後は利用したいと考えている。
  • ケアマネージャーの86.6%が宿泊サービスの利用を勧めたいと考えており、特に、認知症高齢者に勧めていきたいと考えている割合が49.2%となっている。

4、ショートステイとの比較(アンケート結果より)

  • 宿泊サービスを利用したい利用者は、高い割合で今後もショートステイではなくデイサービスでの宿泊を利用したいと考えている。
  • デイサービスでの宿泊がショートステイと比べて良いと思われている最大の理由は、「普段から利用しているサービス事業所である」となっている。
  • ケアマネージャーの58.5%がデイサービスでの宿泊を介護保険の対象とすべきと考えており、40.6%が介護保険外で対応すべきと考えている。

5、事業者から見た課題等(アンケート結果より)

  • 勤務ローテーションについては、多くの事業所が課題があると感じている。
  • 全ての事業所が、介護の質が向上するなど何らかの効果があると感じている。
  • 45%の事業所が、コストパフォーマンスが悪いなど経営面での課題を感じている。一方、40%の事業所が、利用者が増加すれば一定の事業モデルが構築できると考えている。

6、利用者、事業者、自治体からの主なご意見

(「お泊りデイ」にポジティブなご意見)

  • 夜勤手当がつくので勤務してくれる職員は多い(事業者)。
  • スプリンクラーの設置、1人あたり面積の確保、パーティションの設置によるプライバシーの確保により、利用者の不安の軽減につながった(自治体)。
  • 粗悪な環境での宿泊が続くようであれば早急に基準を設ける必要があると感じる。継続できなくなる事業所があるとしても、明確な指針と管理体制は必要(自治体)。
  • 適切な環境ではないサービスを甘受している利用者もいることを考えると、一刻も早く、適切な基準をもって保険給付可能なサービスを創設することが望まれる(自治体)。
  • 宿泊のニーズがあることから、介護保険適用の有無にかかわらず、消防や設備面等安全対策の制度化が必要(自治体)。
  • 新たに施設を建設していくか、宿泊デイを介護保険給付対象とするかについては、いずれが介護保険財政の安定的な運用に資することができるのかを試算し、その結果トータルコストの削減につながる方を実施すべき(自治体)。
  • 緊急時のニーズに対応していくためには、利用者の数にかかわらず運営を可能とする必要があり、経済的支援が必要(自治体)。
  • 長期的宿泊が常態化した利用が多くなる可能性があるため、制度化する場合であっても、あくまでも緊急・短期間のサービスであることを強調していく必要がある(事業者)。
  • 宿泊サービスの普及のためには、「当日申込みが可能」、「1~2週間にわたって利用可能」なサービスであることが望ましいが、そのためには、人員配置体制、宿泊環境、安全管理面等について十分な検討が必要(自治体)。

(「お泊りデイ」にネガティブなご意見)

  • 昼間のサービス提供に影響が出るため緊急利用ニーズに対応できない(事業者)。
  • 夜勤の正規職員比率が上がり、日中のケアの質が低下した(事業者)。
  • 夜勤がないからという理由でデイに勤めている者も多く、夜勤者の確保が困難(事業者)。
  • 宿泊者が1名であっても夜勤を配置しなければならず、コストパフォーマンスが悪い(事業者)。
  • ほとんどのデイサービス事業所にはスプリンクラーがないため、安全上の課題となる(自治体)。
  • 本来的にはショートステイを整備すべき(自治体)。
  • 包括的ケアの継続という観点でいえば、小規模多機能が本来の姿ではないか(自治体)。
  • ショートステイの受け入れ施設が増えるならそれが一番良い(ケアマネ)。
  • 小規模多機能型居宅介護の整備が進んできていること、地域における特養の整備状況により利用者の考え方も変わることを考えると、宿泊事業の有効性は判断出来ない(自治体)。
  • 介護保険のサービスに位置づけられる場合は、人員配置等の細かな基準が設定され、結局必要な人員が確保できずに、ニーズはあるが実施できないという状況が考えられる(自治体)。
  • 宿泊サービスがレスパイトではなく施設の代替機能を果たすことになればその弊害は大きい(自治体)。

 

⇒ 本調査事業の結果は概ね上記のとおりです。「お泊りデイ」に対するニーズは確かにあるものの、それを介護保険の対象にすることには賛否両論あり、直ちに「お泊りデイ」を介護保険の対象にすることは多少問題がありそうです。私見では、ショートステイや小規模多機能型居宅介護で対応するのが筋かと考えますが、一方で、慣れ親しんでいる施設でお手軽に宿泊をしたいと考えている利用者やその家族がおり、その意向も無視することはできないでしょう。「お泊りデイ」を介護保険の対象とするか否かを判断するためには、もう少し時間をかけて実態を分析していく必要があると考えられますが、介護保険の対象にするか否かを問わず、「お泊りデイ」を実施する通所介護事業所に対しては、明確な基準を設け、安全管理や人員配置を適切に行うことを指導し、「お泊りデイ」の利用者が不適切な環境に置かれることがないようにしていく必要があると考えられます。

 

(参考資料) 厚生労働省資料より

お問合せ・ご相談はこちら

 当研究所の業務内容や料金などについて、わからない点やご相談などございましたら、お電話、メールもしくはお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。
お問合せをお待ちしております。

お気軽にご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら

047-407-4308

携帯:090-1428-0853
営業時間:月〜金 9:00〜18:00 (定休日:土日祝)

E-mail:sr@asahi.email.ne.jp
メールでのお問合せは24時間受付しております。

 社会保険労務士 医療・福祉・介護総合研究所は医療 (病院、診療所、歯科医院)・福祉・介護施設を専門とした研究を行っている研究機関(社会保険労務士事務所)で、船橋市、習志野市、千葉市、市川市などの千葉県全域 をはじめ、東京都全域、埼玉県全域、神奈川県全域を主な業務活動の対象としております。

    お問合せはこちら

047-407-4308

090-1428-0853

営業時間:
月〜金 9:00〜18:00
(定休日:土日祝)

お問合せフォームはこちら

   当研究所のご紹介

19000007.jpg

社会保険労務士
医療・福祉・介護総合研究所

所長:阿部健太郎

〒274-0825 千葉県船橋市
前原西2-22-13 
シャルマン津田沼103

047-407-4308

090-1428-0853

047-407-4314

sr@asahi.email.ne.jp

当研究所のご紹介

       業務対象地域

千葉県全域 (習志野市、船橋市、千葉市、市川市、松戸市、柏市、浦安市、鎌ヶ谷市、白井市、八千代市、印西市、佐倉市、成田市、四街道市、市原市、酒々井町、栄町をはじめとする千葉県全域)

東京都全域 (千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区の23区をはじめとする東京都全域)

埼玉県全域(さいたま市、川口市、鳩ヶ谷市、蕨市、戸田市、上尾市、桶川市、川越市、所沢市、入間市、志木市、朝霞市、越谷市、草加市、春日部市、三郷市、八潮市、幸手市をはじめとする埼玉県全域)

神奈川県全域(横浜市、川崎市、厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町、平塚市、藤沢市、茅ケ崎市、小田原市、相模原市をはじめとする神奈川県全域)

全国展開していますので、その他の地域につきましても、ご相談に応じます。

         所属学会①

 当研究所の所長の阿部健太郎は日本介護経営学会に所属しております。介護経営をアカデミズムの観点から研究し、介護経営に資する研究の成果を、社会に還元いたします。

詳しくはこちら

         所属学会②

 当研究所の所長の阿部健太郎は医療経済学会に所属しております。医療経済についてアカデミズムの観点から研究を行い、医療機関の経営に資する研究の成果を、社会に還元いたします。

詳しくはこちら